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勝手に最遊記

勝手に最遊記

Family ―16―

――――――翌日


桃花は再び寝込んでいた。

昨日ほどの高熱ではないものの、これでは出発できないのは明らかだった。

『まいったな~。・・また迷惑かけちゃう・・。』

「・・・桃花、起きてる?」
ドアが開いて、悟空が顔を出す。

「うん?起きてるよ。」

悟空がオズオズと入ってくる。その様子を見て、桃花がクスリと笑う。

「ココ、座って?」悟空をベッドに座らせる。

「・・・俺さ・・・。」「うん。」「俺・・・。」「うん。」「俺・・。」

「なんで、あの女に捕まっちゃったんだろ?」「・・うーーん・・。」
思いもかけない問いに、桃花も咄嗟に答えられない。

「俺、今すげぇ幸せなのに。三蔵の側にいられて・・。
八戒や悟浄も居て・・・淋しく何か無いのに。どうしてだろ?」

「ソレ、三蔵にも聞いてみた?」
「うん。そしたら“アイツに聞け”って。」
「そっか・・。」

「・・悟空ちゃん。」「ん?」桃花は悟空の胸に手を当てた。

「“心の傷”っていうのは、簡単には治らないモノなんだよ?」
「エッ?」悟空がきょとんとする。

「体の傷なら、治ったらお終いなんだけどね。心の傷は、かさぶた張って
剥がれたら終わりって訳にはいかないから。」

「心の傷・・・。」

「悟空ちゃんが受けた傷・・。いつもは分かんないけど、心に抱えてる。
それが偶々(たまたま)あの人に繋がっちゃったんじゃないのかな?」

「・・・俺、情けねーの。」シュンとする悟空の肩を軽く抱く。
「そんなこと無い。それが“人間”ってモノだと思うよ。」

「・・人間じゃないんだケド。」

「あははは!ちっちゃいこと、気にすんなってば♪」軽く笑って、

「それより・・あたしも心に傷を受けたばっかりで・・。」と、悟空を睨む。
「エッ、何?俺、何かした??」

「さっき、悟空ちゃん“すげぇ幸せ”って言ってたメンツに、あたしが入ってなかった!!」

悟空の顔が青ざめる。「いや・・だって、目の前にいたし・・。」

「ああ・・あたしは悟空ちゃん達と一緒に旅が出来て“すげぇ幸せ”なのに!」
わざと肩を落としてため息をつく。

「ゴ、ゴメン!桃花、なんかして欲しいこと無い?
食べ物でも持ってこようか??」慌てふためく悟空を見て、

「うーん、何してもらおっかな~♪」意地悪く微笑んだ。


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